この記事でわかること
- 30代・40代では、がんと診断される人が女性のほうが多い理由がわかります
- 乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん、それぞれの年代と特徴がわかります
- 検診が勧められているがんと、症状で受診したいがんの違いが整理できます
「がんは年齢を重ねてからの病気」というイメージを持つ方は多いかもしれません。ところが、30代・40代に限ってみると、がんと診断される人は女性のほうが多いことが分かっています。
この記事では、その理由と、乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんという女性特有のがんそれぞれの特徴を、公的な統計をもとに整理します。
50代前半までは、がんと診断される人は女性のほうが多い
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性61.1%、女性50.1%と報告されています(2023年データ)。生涯で見ると、男性のほうが高い数字です。
ところが、年代別に見ると様子が変わります。厚生労働省の資料では、50代前半までの世代では女性のほうががんと診断される人数が多く、30代では女性の患者数が男性の約2.5倍とされています(2018年データ)。50代後半以降は男性の人数が女性を上回り、年齢とともに急速に増えていきます。
理由は「女性特有のがん」が若い年代から増えるため
多くのがんは、年齢を重ねるにつれて増えていきます。一方、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんは、比較的若い年代から増え始めるのが特徴です。
国立がん研究センターの集計(2016〜2018年のデータ)では、30〜39歳の女性がかかるがんは、乳がんが約3割で最も多く、子宮頸がんが約14%で2番目に多いと報告されています。働き盛り・子育て世代と重なる年代に、女性特有のがんが多いということです。
女性特有のがん、それぞれの特徴
乳がん
- 女性がかかるがんの中で、最も多いがんです(2023年の罹患数で1位)
- 30代から増え始め、40代後半が発症のピークとされています
- 発生には女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られており、初経が早い、閉経が遅い、出産経験がないなど、エストロゲンに関連する要因がリスクを高めると考えられています
- 40歳以上は2年に1回の乳がん検診(マンモグラフィ)が勧められています
子宮頸がん
- その多くにHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られています
- 20代後半から増え始め、30代〜40代に多いがんとされています
- 大部分は、がんになる前の状態(前がん病変)を経てからがんになります。この時期には症状がないため、定期的な検診が手がかりになります
- 20歳以上は2年に1回の子宮頸がん検診が勧められています
子宮体がん
- 40代〜60代、閉経前後に多いがんとされています
- エストロゲンに長くさらされることが関係するタイプが多いとされ、出産経験がない、閉経が遅い、肥満などがリスクとして挙げられています
- 最も多い自覚症状は不正出血です。月経ではない時期の出血や、閉経後の出血には注意が必要とされています
- 国の指針で定められた検診はないため、気になる出血があれば早めに婦人科を受診することが勧められています
卵巣がん
- 40代〜60代に多いとされますが、どの年代でもみられます
- 初期にはほとんど自覚症状がないとされています。服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れるといった変化をきっかけに見つかることもあります
- 国の指針で定められた検診はありません。気になる症状があれば早めに受診してください
子宮頸がんと子宮体がんの違いについては「子宮頸がんと子宮体がんの違い」の記事で詳しく解説しています。
検診が勧められているのは乳がんと子宮頸がん
女性特有のがんのうち、国の指針で検診が勧められているのは乳がんと子宮頸がんです。
ただ、子宮頸がん検診は法定の健康診断の項目ではないため、職場の健診に含まれないことも少なくありません。2022年の国民生活基礎調査をもとにした厚生労働省の資料では、子宮頸がん検診を受けた人のうち、勤め先や健康保険組合などが実施する検診で受けた人は37.9%と報告されています。胃・肺・大腸のがん検診(64.6〜70.1%)と比べると低い割合です。職場の健診にない場合の受け方は「職場の健診に子宮頸がん検診がない場合」の記事で解説しています。
忙しくて受診の時間がとりにくい場合、子宮頸がんについては、自宅で採取できる郵送HPV検査という選択肢もあります。ただし、HPV検査で分かるのは子宮頸がんの主な原因であるHPVへの感染の有無で、乳がん・子宮体がん・卵巣がんは対象外です。また、細胞の変化を調べる検診(細胞診)の代わりになるものではありません。
まとめ
- 50代前半までは、がんと診断される人は女性のほうが多く、30代では男性の約2.5倍とされています
- 理由は、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんが、比較的若い年代から増えるためです
- 30〜39歳の女性のがんは、乳がんが最も多く、子宮頸がんが2番目と報告されています
- 乳がん(40歳以上・2年に1回)と子宮頸がん(20歳以上・2年に1回)は検診が勧められています。子宮体がん・卵巣がんは、気になる症状があれば早めの受診を
参考にした公的情報・出典
- 厚生労働省「がん対策推進企業アクション」概要・目的(男女の年代別がん罹患数) https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/about/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児・AYA世代のがん罹患」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん」 https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん」 https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮体がん(子宮内膜がん)」 https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん」 https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/index.html
- 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」 https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/cancer.html
- 厚生労働省「第39回がん検診のあり方に関する検討会」参考資料5(令和4年国民生活基礎調査) https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001685971.pdf
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。統計は公表時点のデータにもとづいています。個別の判断は医療機関にご相談ください。
症状がある方へ
不正出血、おりものの変化、乳房のしこりやひきつれ、おなかの張りなど、気になる症状がある場合は、検診や検査キットではなく、早めに医療機関(婦人科・乳腺外科など)を受診してください。

