この記事でわかること
- HPVが中咽頭がんの原因のひとつとされることと、男性に多い特徴がわかります
- 喉への主な感染経路と、キスや日常の接触をどこまで気にすればよいかがわかります
- 喉の違和感などが何週間続いたら耳鼻咽喉科へ行くべきか、その目安がわかります
「HPVは喉のがんの原因にもなると聞いた」「オーラルセックスでうつるって本当?」——子宮頸がんの原因として知られるHPVですが、実は喉や口のがんとの関係も指摘されています。
過度に怖がる必要はありませんが、正しく知っておく価値のあるテーマです。この記事で整理します。
HPVは中咽頭がんの原因のひとつとされています
中咽頭(ちゅういんとう)とは、口を開けたときに見える奥の部分——扁桃(へんとう)や舌の付け根のあたりです。この部位のがん(中咽頭がん)の一部は、ハイリスク型HPV(特に16型)の感染が原因とされています。
かつて中咽頭がんの主な原因は喫煙と飲酒でしたが、近年はHPVが関連するタイプの割合が増えているとされ、欧米では中咽頭がんの半数以上がHPV関連という報告もあります。日本でも増加が指摘されています。
なお、HPV関連の中咽頭がんは、喫煙・飲酒が原因のものに比べて治療への反応が良い傾向があるとされています。
主な感染経路はオーラルセックスとされています
喉へのHPV感染は、主にオーラルセックスによって起こるとされています。性的接触のパートナー数が多いほどリスクが上がる傾向も報告されています。
「キスでうつる?」については、通常の軽いキスで過度に心配する必要はないとされていますが、深いキスによる感染の可能性は完全には否定されていません(詳しくは「HPVはキスで感染する?」の記事へ)。日常生活の接触(食器の共用・会話など)で心配する必要はありません。
また、女性より男性に多いのがHPV関連中咽頭がんの特徴とされています。「HPVは女性の問題」ではないことを示す代表例です。
こんな症状が続いたら耳鼻咽喉科へ
中咽頭がんを早期に見つける検診制度はないため、症状に気づいたら受診することが大切です。
- 喉の違和感・痛みが数週間続く(風邪のように治らない)
- 飲み込みにくさ、飲み込むときの痛み
- 首のしこり(リンパ節の腫れ)が続く
- 声の変化、片側だけの耳の痛みが続く
これらの多くは炎症など別の原因ですが、数週間続く場合は耳鼻咽喉科で確認してください。「様子見の目安は2〜3週間まで」と覚えておくとよいでしょう。
予防としてできること
- HPVワクチン: 中咽頭がんの主因とされる16型をカバーしています。男性の接種が広がりつつある背景には、この中咽頭がんなどの予防への期待もあるとされています(詳しくは「男性のHPVワクチン」の記事へ)
- 禁煙・節酒: HPVの有無にかかわらず、中咽頭がんの大きなリスク要因です
- オーラルセックス時のコンドーム・デンタルダムの使用は、感染リスクを減らすとされています(完全ではありません)
喉のHPVは検査できる?
現時点で、喉のHPV感染を調べる検査は一般的な検診・検査として確立していないとされています。自宅でできる郵送HPV検査(自己採取)も、調べられるのは子宮頸部のHPVであり、喉の感染は分かりません。
喉について気になる症状がある場合は、検査キットではなく耳鼻咽喉科の受診を。これが現時点での正しい行動です。
まとめ
- ハイリスク型HPV(特に16型)は、中咽頭がんの原因のひとつとされ、近年増加が指摘されています
- 主な感染経路はオーラルセックス。男性に多いのが特徴で、HPVは女性だけの問題ではありません
- 喉の違和感・首のしこりなどが2〜3週間以上続いたら耳鼻咽喉科へ
- 予防はワクチン(16型カバー)と禁煙・節酒。喉のHPVを調べる一般的な検査はなく、症状があれば受診が正解です
参考にした公的情報・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「中咽頭がん」 https://ganjoho.jp/public/cancer/oropharyngeal/index.html
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「中咽頭がん」 https://www.jibika.or.jp/owned/hnc/oropharynx/
- 厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
症状がある方へ
喉の違和感・首のしこりが続く場合は耳鼻咽喉科へ。不正出血、おりものの変化など婦人科系の症状がある場合は、早めに婦人科を受診してください。

