この記事でわかること
- HPV陽性でもワクチンを打つ意味が残されているとされる理由がわかります
- 治療効果はない一方で、未感染の型や再感染への備えとしての意味がわかります
- 費用・年齢・治療歴を踏まえて、接種を誰に相談して決めればよいかが判断できます
HPV検査で陽性になった方、あるいは過去に感染歴のある方から、「今さらワクチンを打っても意味がないですよね?」という質問をよくいただきます。
結論から:陽性でも、ワクチンを打つ意味は残されているとされています。ただし期待できる効果とできない効果を正しく分けて理解することが大切です。
まず:ワクチンに「治療効果」はありません
大前提として、HPVワクチンは感染を予防するためのもので、すでに感染しているHPVを排除する治療効果はないとされています。
「陽性になったからワクチンで治そう」はできません。今ある感染への対応は、医療機関での確認と経過観察が基本です。この点を誤解したままの接種は、期待外れにつながります。
それでも意味がある3つの理由
1. 感染しているのは、多くの場合「一部の型だけ」です
HPV検査で陽性といっても、ハイリスク型すべてに感染しているわけではありません。多くの場合、感染しているのは1つか少数の型です。
9価ワクチンは9つの型に対応しており、まだ感染していない型への予防効果は、陽性の方でも期待できるとされています。たとえば52型に感染している方でも、16型・18型など他の主要な型を防ぐ意味は残っています。
2. 排除後の「再感染」への備えになります
HPVの多くは免疫の働きで自然に排除されますが、一度排除された後に同じ型・別の型へ再感染する可能性はあります。自然感染で得られる免疫は弱いことがあるとされており、ワクチンによる予防はこれを補う位置づけになります。
3. 治療後の再発予防についても研究が進んでいます
円錐切除などの治療を受けた方へのワクチン接種が、その後の病変の再発リスク低下と関連するという報告があり、研究が進められているとされています。まだ方針として確立した段階ではないため、治療歴のある方は、接種の要否を主治医と相談する価値があります。
費用・年齢・相談先から考える判断材料
- 費用: 公費(定期接種・キャッチアップ)の対象外の年齢では自費接種となり、9価は3回で合計8〜10万円程度が相場とされています。決して安くない金額なので、上の3つの意味と天秤にかけて判断を
- 年齢: ワクチンの予防効果は若いほど高いとされますが、成人後の接種に意味がないわけではありません(詳しくは「大人のHPVワクチン」の記事へ)
- 相談先: 陽性で経過観察中の方は、通院先の医師に「ワクチンを打つ意味はありますか」と聞くのが一番の近道です。あなたの型・年齢・治療歴を踏まえた答えがもらえます
ワクチンは経過観察の代わりになりません
ワクチンを打っても打たなくても、陽性の方に必要なのは医療機関での定期的な確認です。ワクチンは「これから」への備えであり、「いま」の感染の経過観察の代わりにはなりません。この2つは並行して考えてください。
まとめ
- ワクチンに治療効果はなく、今の感染を排除することはできません
- それでも、未感染の型への予防・排除後の再感染への備えとして意味は残されています
- 治療後の再発予防に関する研究も進められています。治療歴のある方は主治医に相談を
- 自費の場合は費用も考慮し、通院先の医師に自分のケースでの意味を聞くのが確実です
参考にした公的情報・出典
- 厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
- 日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」 https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん 予防・検診」 https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/prevention_screening.html
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。ワクチン接種の判断は、感染している型・年齢・治療歴により異なります。必ず医療機関にご相談ください。
症状がある方へ
不正出血、月経以外の出血、おりものの変化など、気になる症状がある場合は、検診や検査キットではなく、早めに婦人科を受診してください。
