この記事でわかること
- 2026年4月施行の改正で何が変わり、働く女性の健康とどう関わるかがわかります
- 公表義務が広がった対象(101人以上)と、健康支援の取り組み例がわかります
- 勤務先の行動計画や休暇制度、検診について働く人が確認すべきことが整理できます
女性活躍推進法が改正され、2026年4月1日から主な内容が施行されました。企業が公表しなければならない情報が増えたことに加えて、女性の活躍は女性の健康上の特性に留意して進めることが、法律で明確になりました。
この記事では、改正のポイントを厚生労働省の資料をもとに整理し、働く女性の健康との関係を解説します。
女性活躍推進法とは——101人以上の企業に行動計画が義務
女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、働く女性が希望に応じて力を発揮できる環境を整えるため、2015年に制定された法律です。
企業には、主に次のことが求められています。
- 自社の女性の活躍状況を把握し、課題を分析する
- 数値目標を含む「一般事業主行動計画」を作り、社内に周知し、外部に公表して、都道府県労働局に届け出る
- 女性の活躍に関する情報を公表する
行動計画の策定・届出は、常時雇用する労働者が101人以上の企業に義務づけられており、100人以下の企業は努力義務とされています。
2026年4月施行の改正のポイント
改正法は2025年6月11日に公布され、法律にもとづく省令・指針は同年12月23日に公布・告示されました。主な改正点は次のとおりです。
- 法律の期限を10年延長
- 男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務を、101人以上の企業に拡大
- 女性活躍の推進は、女性の健康上の特性に留意して行うことを明確化
- 女性の健康支援に取り組む企業を認定する「えるぼしプラス」を創設
- えるぼし認定(1段階目)の基準を見直し
えるぼし・えるぼしプラスについては「えるぼし・えるぼしプラスとは」の記事で詳しく解説しています。
情報公表の義務が101人以上の企業に拡大
これまで男女間賃金差異の公表は、従業員301人以上の企業だけの義務でした。改正後は、101人以上の企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の両方の公表が義務づけられています。
- 301人以上の企業:男女間賃金差異、女性管理職比率を含む計4項目以上
- 101〜300人の企業:男女間賃金差異、女性管理職比率を含む計3項目以上
- 100人以下の企業:努力義務
初回の公表は、施行後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に行うとされています。たとえば2027年3月末に事業年度が終わる企業は、おおむね2027年6月末までの公表となります。
公表先として最も適切とされているのは、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。誰でも企業名で検索でき、就職や転職の際に各社の数字を確認できます。
「女性の健康上の特性」への配慮が法律に
今回の改正で、女性活躍の推進は女性の健康上の特性に留意して行うべきことが、法律で明確になりました。あわせて、企業が行動計画を作る際の指針も改正され、職場における女性の健康支援に取り組むことが「望ましい」とされています。
厚生労働省の通達では、「女性の健康上の特性」として、月経、妊娠・出産(不妊治療を含む)、更年期症状などが例に挙げられています。どこまでを含めるかは、各企業が適切に設定するものとされています。
厚生労働省は、職場での取り組みの例として次のようなものを示しています。
- 女性の健康に関する研修会の開催
- 婦人科検診などの受診の大切さを含めた、健康課題に関する啓発冊子の配布や動画の配信
- 生理休暇を取りやすい環境の整備
- 不調時の休養、治療・通院、検診などに使える休暇制度の整備
- 時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークなど柔軟な働き方の整備
- 産業医やカウンセラー、外部の相談先、オンライン相談など、相談しやすい体制づくり
- 婦人科検診の受診に対する支援
- 妊婦などが使える休憩スペースの設置
一方で、健康に関してはプライバシーの保護が特に求められることにも留意するよう示されています。また、性別を問わず使いやすい特別休暇の整備など、従業員全体を対象にした取り組みも有効とされています。
なお、ここで示されているのは義務ではなく、企業に推奨される取り組みの例です。
働く人の立場から確認できること
- 従業員101人以上の企業の男女間賃金差異や女性管理職比率は、「女性の活躍推進企業データベース」などで確認できます
- 勤務先の行動計画に女性の健康支援が盛り込まれているか、社内で周知されている計画を見てみましょう
- 休暇制度や相談窓口がある場合は、内容と利用方法を確認しておくと、いざというときに使いやすくなります
子宮頸がん検診は、職場の健診に含まれないことも
国の取り組み例には、婦人科検診の受診に対する支援が含まれています。ただ、子宮頸がん検診は法定の健康診断の項目ではないため、職場の健診に含まれていないことも少なくありません。職場の健診にない場合の受け方は「職場の健診に子宮頸がん検診がない場合」の記事で解説しています。
通院の時間がとりにくい場合は、自宅で採取できる郵送HPV検査という選択肢もあります。HPV検査で分かるのは、子宮頸がんの主な原因であるHPVへの感染の有無です。細胞の変化を調べる検診(細胞診)の代わりになるものではありません。
まとめ
- 改正女性活躍推進法は、2026年4月1日から主な内容が施行されました
- 男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が、101人以上の企業に義務づけられました
- 女性活躍の推進は、女性の健康上の特性に留意して行うことが法律で明確になりました
- 職場での女性の健康支援は、行動計画に盛り込むことが望ましい取り組みとされ、婦人科検診の受診支援や相談体制づくりなどが例に挙げられています
- 健康に関する取り組みでは、プライバシーの保護が特に求められます
参考にした公的情報・出典
- 厚生労働省「改正女性活躍推進法等のポイント」(令和8年2月18日改定版) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001663919.pdf
- 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
- 千葉労働局「女性活躍推進法について」 https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_kintou/hourei_seido/_37604/danjochingin.html
- 長野労働局「えるぼしプラス認定通知書交付式」のお知らせ(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の施行についての抄録を含む) https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/houdou8-27.pdf
- 厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」 https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律相談や医学的な診断・治療に代わるものではありません。制度の内容は公表時点の情報にもとづいています。最新の情報や自社への当てはめは、厚生労働省の資料や都道府県労働局でご確認ください。
症状がある方へ
不正出血、おりものの変化、下腹部の痛みなど、気になる症状がある場合は、検診や検査キットではなく、早めに医療機関(婦人科)を受診してください。

