この記事でわかること
- 子宮頸がん検査の自己採取が、何を採って何を調べる方法なのかがわかります
- 医師採取との違いと、自己採取の精度について研究で分かっていることがわかります
- 自己採取が向いている場合と、婦人科で医師採取を受けるべき場合を判断できます
自分で採る、という選択肢を、正しく知る。
「子宮頸がんの検査を自分で採取できるって聞いたけど、ちゃんと調べられるの?」「病院で採ってもらうのと何が違うの?」――自己採取という言葉は広まりつつありますが、しくみまで知っている方はまだ多くありません。この記事では、子宮頸がん検査の自己採取とは何か、何を採って何を調べるのか、医師採取との違い、精度についての研究結果、やり方と注意点、向いている人までをまとめて整理します。最後に、Day360の自己採取についてもご紹介します。
自己採取とは
自己採取(セルフサンプリング)とは、医師や看護師ではなく、受ける本人が自分で検体を採る方法のことです。子宮頸がんの検査では、専用のスワブ(綿棒のような細い器具)を自分で腟の中に入れ、数秒〜数十秒回して腟内の分泌物や細胞を採ります。
腟の中には、子宮の入り口(子宮頸部)からはがれ落ちた細胞や、そこに感染しているHPV(ヒトパピローマウイルス)が含まれています。自己採取は、この腟内の検体から、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVを調べる方法です。
自己採取で調べるのはHPV検査。細胞診は原則、医師採取
子宮頸がんの検査には、細胞の形の変化を顕微鏡で見る「細胞診」と、原因ウイルスの有無を調べる「HPV検査」の2種類があります。
自己採取に向いているのはHPV検査です。HPVの遺伝子をPCR法などで調べる場合、検体が腟内のものであっても、十分な検出性能があることが分かっています。
一方、細胞診は子宮頸部の細胞そのものを観察する検査のため、子宮頸部を直接こすり取る医師採取が基本です。自己採取では子宮頸部の細胞が十分に採れないことがあり、正確さに限界があるとされています。
医師採取との違い ― 採る人・採る場所・分かること
採る人:医師採取は医師や看護師が、自己採取は本人が採ります。
採る場所:医師採取では、腟鏡(クスコ)で腟を開き、子宮頸部からブラシやヘラで直接細胞を採ります。自己採取では、腟鏡は使わず、スワブを腟の中に入れて腟内の検体を採ります。
分かること:医師採取では、細胞診とHPV検査の両方ができます。自己採取で調べられるのはHPV検査で、細胞の変化やがんの診断はできません。
受けやすさ:医師採取は病院の予約と内診が必要です。自己採取は、自宅で自分のタイミングで、数分で終えられます。内診が苦手で検診を避けてきた方にとっては、この違いが大きな意味を持ちます。
自己採取の精度は、方式次第で医師採取と同程度
自己採取でいちばん気になるのは「正しく調べられるのか」という点でしょう。
世界各国の研究をまとめた分析(Arbyn 2018)では、PCR法などの核酸増幅法で調べる場合、自己採取の検体は医師が採取した検体と同程度の検出性能(前がん病変を見つける感度)があると報告されています。一方で、性能が検証されていない方式では自己採取の感度が下がることも示されており、「どの方法で調べるか」が精度を左右することが分かります。
WHO(世界保健機関)は2021年のガイドラインで、自己採取を子宮頸がん検診の選択肢のひとつとして推奨しています。オランダやオーストラリアなど、公的な検診に自己採取を取り入れている国もあり、国内でも検診を受けていない方向けに自己採取を活用する研究や取り組みが進められています。
ただし、日本の対策型検診(自治体が行う検診)では、現在も医師による採取が原則です。自己採取のHPV検査は、公的な検診の代わりではなく、検診へつながる入口、あるいは検診と検診のあいだの確認として位置づけられています。
自己採取のやり方 ― 一般的な手順
① 手を洗い、落ち着ける場所で:トイレや寝室など、ひとりになれる場所で行います。
② 姿勢をとる:立って片足を便座などに乗せる、便座に座る、横になって膝を立てるなど、楽な姿勢を選びます。
③ スワブを入れる:説明書に示された目安の深さまで、スワブをゆっくり腟に入れます。
④ 回す:スワブを腟の壁に軽く当てながら、決められた時間だけ回します。
⑤ 取り出して容器へ:スワブを取り出し、容器に入れてしっかり閉めます。
所要時間は、はじめての方でも数分です。採取の深さや回す時間はキットごとに決められているので、必ず説明書にそって行ってください。
痛みはある? 失敗しない?
自己採取用のスワブは、細くやわらかく作られています。タンポンを使ったことがある方なら、感覚はそれに近く、痛みを感じにくいのが一般的です。力を入れすぎず、ゆっくり入れるのがコツです。
「ちゃんと採れているか不安」という声もよく聞きますが、PCR法で調べる検査では、わずかな検体からでもウイルスの遺伝子を増幅して検出できます。説明書どおりに採取していれば、多くの場合は問題ありません。検体の状態で判定できなかった場合に再検査の対応があるかは、キットを選ぶときに確認しておくと安心です。
自己採取の注意点
生理中は避ける:経血が混ざると判定できないことがあります。出血が完全に止まってから採取しましょう。
採取前48時間は腟に使う製品を控える:腟剤・潤滑ゼリー・腟洗浄剤などは、採取前の2日間は使わないようにしましょう。
採取したら早めに返送する:検体を良い状態で届けるため、各キットの案内にある期限内に投函しましょう。
症状があるときは受診を:生理以外の出血(不正出血)、性交後の出血、おりものの急な変化などがある場合は、自己採取の結果を待たずに婦人科を受診してください。
自己採取が向いている方、医師採取を受けるべき方
自己採取が向いている方:忙しくて検診に行けない方、内診が苦手で検診を避けてきた方、しばらく検診を受けていない方、検診と検診のあいだに確認しておきたい方。
医師採取(婦人科の受診)を受けるべき方:気になる症状がある方、過去の検診で「要精密検査」と言われたまま受診していない方、妊娠中や婦人科の病気で治療中の方、自己採取のHPV検査で陽性と分かった方。
Day360の自己採取
Day360は、自己採取のHPV検査を自宅で受けられる郵送の検査サービスです。
採取には、自己採取用に作られたやわらかいスワブ(FLOQSwabs®、コパン社)を使います。腟に入れて10〜30秒ほど回すだけで、所要時間は数分です。
採取した検体は、乾いたまま常温で安定する仕組みのため、採取から3日以内に同封の返送用封筒でポストに投函するだけで済みます。
検査は、国内大手の臨床検査機関・BMLが、医療機関でも用いられるリアルタイムPCR法で行います。高リスク型HPV14種を調べ、16・18・31・45・51・52型の6つは型まで個別に判定します。結果は投函から約6〜11営業日(土日祝・年末年始を除く)で、ご本人専用のマイページだけにお知らせします。
価格は税込6,300円です。検体の状態などで判定できなかった場合は、1回まで無料で再検査キットをお送りし、それでも判定できなかった場合は代金を全額お返しします。外箱に検査名は書かれていません。
よくある質問
自己採取で陰性だったら、検診は受けなくていい?
いいえ。陰性は「現時点で高リスク型HPVが検出されない」という目安であり、検診を不要にするものではありません。定期的な検診は続けてください。
自己採取で陽性だったら、どうすればいい?
陽性は「がんの原因となるウイルスがいる」という意味で、がんの診断ではありません。婦人科を受診し、細胞診などで細胞に変化が起きていないかを確認しましょう。HPVの多くは自然に検出されなくなります。
スワブを奥まで入れすぎたり、採れていなかったりしたら?
スワブには目安の深さが示されており、腟は奥で行き止まりになっているため、体の中に入り込むことはありません。採れているか不安な場合も、説明書どおりに行っていれば多くは問題ありませんが、判定できなかったときの再検査の対応を確認しておくと安心です。
最後に
自己採取は、「病院に行けない」「内診が苦手」という理由で検診から遠ざかっていた方にとって、現実的な最初の一歩です。調べられるのはHPVの有無であり、がんの診断ではないこと。公的検診の代わりではなく入口であること。方式によって精度が変わること。この3つを知ったうえで、自分に合う形で活用してください。
Day360について
Day360は、忙しくてなかなか検診に行けない方が、自宅で気軽に最初の一歩を踏み出せる、郵送のHPV検査サービスです(リアルタイムPCR法による検査)。公的な子宮頸がん検診(対策型検診)の代わりになるものではなく、検診を受けるきっかけや、検診と検診のあいだの安心のためにご利用いただけます。陽性だった場合や気になる症状があるときは、医療機関の受診をおすすめします。
参考にした公的情報・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん検診について」
- Arbyn M, et al. BMJ 2018;363:k4823(自己採取HPV検査のメタアナリシス)
- WHO guideline for screening and treatment of cervical pre-cancer lesions, 2nd ed. 2021

